民事訴訟を行うにしても、警察に被害届を出すにしても、相手(加害者)が「どこの誰であるか?」というのは非常に重要になります。
どこの誰か、とはいわゆる「身元」のことで、具体的には「氏名」「住所」を指します。
詐欺の加害者の身元が最初からわかっているケースもありますが、多くは何らかの偽装をしており、特に「住所」を偽っている、もしくは隠していることが非常に多いです。
氏名・住所は訴訟の手続き上でも必要ですし、「あいつが自分を騙したけど何処の誰だかわからない」では被害回復の望みがますます薄くなってしまいます。
一つお断りしておきますが、ここで言う「加害者の身元(氏名・住所)」とは、必ずしも主犯の人物及びグループを指すとは限らず、主犯の協力者、関係者、または名前を貸しただけであると思われる者も含んでいます。
詐欺被害回復のセオリーの一つは「訴えることができる人物を訴えること」であると考えられるからです。
身元調査の手がかり
詐欺を行う場合、詐欺師・詐欺会社側も偽装をするために何らかの道具や施設を使用しています。
つまり、基本的にその道具や施設を使用している人物の情報は、加害者(側の人間)の情報であると考えられるのです。
情報が得られる代表的なものを以下に記載致します。
- 登記事項証明書
- 口座
- 電話番号
- 車両ナンバー
- WEBサイト(ドメイン・サーバー)
- メールアドレス
- ID(ユーザー名)
- レンタルオフィス
- 私設私書箱
- 賃貸マンション
- 郵便物転送先
- 登録が必要な業種
これらは民事訴訟を起こした際の[調査嘱託]、もしくは[情報開示請求]という手続きをとることで、契約者・使用者・登録者などの情報を得ることができます。
住民票・除票・戸籍の附票
個人を相手に民事訴訟をする場合、裁判所にて相手方の「住民票」を用意するように言われることがあります。
その場合、相手方の氏名・住所の情報があれば、管轄の役所にて住民票を取得することができます。
但し、可能な限り最新の住所を用意しなければならず、住民票を取りに行っても「除票(除かれた住民票)」になっている場合もあるので、住所歴が記載されている「戸籍の附票」の取得が必要になるケースもあります。
訴訟手続前に情報を得る場合
弁護士は、[弁護士法23条の2に基づく照会]という弁護士会を通した手続により、普通は手に入らない個人情報等を得られるという特権を持っています。
ですので、弁護士に依頼することによってさまざまな情報が得られる可能性があります。
※もちろん依頼料が必要になります。
また、詐欺師の中には過去に破産した人物が割といますので、有料ですが「官報検索サービス」を利用することによって過去の破産情報(当時の住所が乗っている)が得られることもあります。
※怪しい人物の事前調査にも使用できます。
官報検索サービス
インターネット情報も馬鹿にできないので、念のために加害者の情報をネット検索してみることもお勧め致します。
住所情報が得られない場合
もし、詐欺師や詐欺会社の人間と会う約束が取り付けられるのなら、喫茶店やホテルなどへ誘い出して帰るところを尾行するという方法があります。
但し、尾行という方法を取る場合は決してご自身でやろうなどと思ってはいけません。顔を知られているご自身が詐欺師を尾行するのはほぼ不可能に近いです。
詐欺などの犯罪者は警戒心が強い傾向があるので、もし尾行が発覚した場合は、二度と同じ手は使えないとお考え下さい。
尾行による身元判明を行うのであれば、尾行のプロである[探偵・興信所]に依頼された方がよろしいですが、依頼料がかかり、良し悪しもありますので、信頼できる探偵を見つける必要はあります。