被害回復給付金支給制度

被害回復給付金支給制度とは

「被害回復給付金支給制度」には以下の2つの法律が関係します。

①「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」

反社会勢力や団体等の組織的犯罪の刑罰やマネーロンダリングの処罰、また、犯罪によって得られた収益の没収・追徴について規定されています。

②「犯罪被害財産等による被害回復給付金の支給に関する法律」

没収・追徴した「犯罪被害財産」を金銭化して被害者に支給することが規定されています。

上記の2つの法律によって行われるのが「被害回復給付金支給制度」であり、詐欺被害を受けたとしても加害者が保持している被害金を刑事裁判により国が没収して返してくれる(可能性がある)という制度です。

但し、詐欺被害にこの制度が適用されるにはまず「組織的な犯罪」と認定される必要があります。

実際の例としては闇金融で支払わされた違法金利被害が多いようですが、暴力団など犯罪グループの組織的詐欺(特殊詐欺、振り込め詐欺、オレオレ詐欺、パチンコ詐欺、競馬情報詐欺、交際クラブ詐欺、投資系詐欺)による被害回復金の支給も行われています。

支給の申請

給付金の支給を受けるには申請の手続が必要です。

刑事裁判で認定された犯罪行為の被害者の他、当該犯罪行為の一連の犯行として行われた犯罪行為の被害者が対象となります。

また、支給が開始された事件、問い合わせ先については検察庁ウェブサイトの以下のページで確認することができます。

被害回復給付金支給制度 - 検察庁

※検察官が通知可能な被害者を把握している場合は、個別に通知してくれることもあるようです。

申請方法

  1. 支給手続開始後、申請書に必要な事項を記載
  2. 被害を受けたことやその被害額を示す資料のコピー、及び身分証明書のコピーを用意する
  3. 上記申請書と資料・身分証明書のコピーを該当の検察庁に提出(郵送でも申請可能)

申請書は検察庁に用意されていますが、法務省ウェブサイトの以下のページから印刷もしくはファイルのダウンロードが可能です。

被害回復給付金支給申請書- 法務省

支給制度は最後の手段

被害金の支給が行われるのは刑事裁判により加害者の罪が確定した後となります。

まず、警察が捜査をし犯人が逮捕されます。その後、検察により犯人が起訴され刑事裁判が行われて罪が確定します。

さらに犯罪口座や被害金の流れが調べられ、被害金の額の確定など一連の流れで数年の期間がかかります。

つまり、支給が行われるまで数年は待たなければならないということになります。

また、支給額の上限は各被害者が実際に被害を受けた額となり、支給手続に要する経費を差し引いた額から各被害者の被害額に応じて分配が行われます。

必ずしも被害金が全額戻ってくるわけではなく、そもそも没収・追徴額がない場合は支給を行うことができません。

被害総額約50億円の闇金融の犯罪口座がスイスにあり総額で約30億円もの金額が給付金となった例があります。

金額だけ見れば巨額なのですが、被害者が約5000人いたため単純計算だと一人につき約60万円となります。

外国の口座に移動された後で被害金を確保しかも数十億単位で戻っただけでも特異な例と言えるのですが、数百万単位の被害回復ができる可能性はおそらくかなり低いと思われ、この制度をもってしても被害回復にはやはり「運」が必要と言えるのではないでしょうか。

但し、上記の例のように「移動され隠匿されてしまった資金を公権力の力で取り戻せる」というところがこの制度の最大のメリットと言えます。

別の見方をすれば民事訴訟でどうにもできない時の最後の望みとも言えるかもしれません。

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