不当利得

不当利得(ふとうりとく)とは

不当利得とは、法律上正当な理由のない利得(金銭を得る等)を得た者は、それによって損失を被っている者に返還しなければならない、という法律です。

(不当利得の返還義務)
第703条
法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。

民法第703条 - Wikibooksより引用

物を売った場合に売値でその対価を得ることは、売買契約が成立していますので法的に正当な利得となります。

しかし、仮にその売買契約が解除になった時、双方に原状回復義務(契約前の状態に戻す義務)が生じますので、双方が不当利得となります。

物を買った方が先に返品したのにいつまでも売主から返金がなされないので訴える、というケースがあるとすれば不当利得を理由に訴えることになります。もちろんその逆のケースも同様です。

詐欺に関する不当利得の例

例えば、ある人が全く知らない人の口座に間違いで振り込んだ場合、間違われて振り込まれた人は法律上その金銭を自分のものとできる正当な理由がないため不当利得となります。

詐欺被害において不当利得を主張できる具体的な例の一つとしては、詐欺の振込先に銀行口座が使われ、その口座名義人を訴えた場合です。

仮にその口座名義人が「自分は全く詐欺に関与していないし勝手に口座を使われただけ」などの言い逃れを言うとすれば、それは不当利得だとして法的に返還請求ができるわけです。

※ちなみに間違って振り込まれたお金を引き出したり移動させたりすると「窃盗罪」等の犯罪となります。

(悪意の受益者の返還義務等)
第704条
悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。

民法第704条 - Wikibooksより引用

通常の不当利得の場合、「利益の存する限度(現存利益)」での返還となっていますが、悪意の受益者(不当利得であることを知っていた)の場合は「全額」に利息をつけて返還となっています。

単に口座名義を他人に使われただけで悪意の受益者となるかどうかは微妙ですが、同様に「他人名義の口座」が使われたケースにおいて不当利得による主張が可能ということになります。

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関連項目