送達とは
送達とは、裁判所が行う特別な文書の送付手続のことです。
書留郵便によって行われ、原則として郵便ポストなどに入れるのではなく、送付先の人物に直接手渡す決まりとなっています。
この送達は「訴状」の送付を始めとして、裁判の当事者に対して行われます。
裁判においては相手が直接受け取ったというのが非常に重要で、基本的に訴える際は相手の確実な「氏名・住所」が必要になります。
しかし、詐欺師・詐欺グループは「氏名・住所」を隠している、あるいは偽っている、もしくは逃げているために、しばしば通常の送達ができないことがあります。
送達がなされなければ裁判を進行させることができず、相手方を訴えることもできなくなります。その際には「付郵便送達」「公示送達」という送達の方法を裁判所に申し出ることができます。
付郵便送達
「付郵便送達」とは、相手方が送達先に居住しているにもかかわらず、「居留守」等を使って訴状を受け取らないような場合に、書留郵便にて訴状が発送された時に相手方に送達された、とみなされる制度です。
この制度を利用すると、相手方が訴状を受け取っていなくても送達が行われたことになり、相手方のわからないところで訴訟が進行するため、最終的にほぼ「欠席裁判」になり原告が勝訴します。
但し、この付郵便送達の制度を利用するにはいくつかの条件があります。
付郵便送達の条件
- 通常の送達
- 休日指定の送達
- 勤務先が分かっている場合は勤務先への送達
- 上記一通りの送達が行われても不在を理由に受け取られない場合
その上で「付郵便送達の上申書」及び「住居所調査報告書」の裁判所への提出が必要となります。
公示送達
「公示送達」は、相手方の住所・居所がわからず行方が知れない場合に、法的に相手方に送達したものとする手続のことです。
申立ての住所地もしくは相手方の最終住所地を管轄する裁判所の掲示板に一定期間(2週間)公示され、かつ官報(もしくは市町村役場)に掲載されることで送達されたとみなされます。
これにより、相手方が裁判が行われることを知る可能性は極めて低いので、最終的に「欠席裁判」となるのは付郵便送達と同様です。
公示送達の制度を利用するにも条件があります。
公示送達の条件
- 相手方の住所地・居所・勤務先がわからない場合
- 付郵便送達で送達することができない場合
その上で「公示送達の申立書」及び「住居所調査報告書」の裁判所への提出が必要となります。
付郵便送達・公示送達の手続きの流れ
①送達先の現地調査、「住居所調査報告書」の作成
まず、送達先の現地調査をし、相手が確かに居住していること、もしくは確かに居住していないことを確認して「住居所調査報告書」を作成する必要があります。
この場合の現地調査にはいくつかのポイントがあります。
- 表札の有無の確認
- 郵便ポストに氏名表記があるか、郵便物の状況
- 電気メーター・ガスメーターが動いているかどうか
- 窓・ベランダの様子(洗濯物が干してあるかどうかなど)
- 管理人・大家・近隣住民に聞き込みを行う
現地の写真があった方が良いので[現地調査]のページをご参考下さい。
②住民票等の入手
送達先住所の管轄の役所にて、相手方の「住民票」「戸籍の附票」もしくは「不在住証明書(住所地に登録がない証明)」を入手します。
「住民票」「戸籍の附票」は相手方が現在の住所地登録をしているという証明です。「不在住証明書」は文字通り住所地に登録がない証明となります。
③書類を裁判所に提出
裁判所に「付郵便送達の上申書」もしくは「公示送達の申立書」及び「住居所調査報告書」「住民票」「戸籍の附票」もしくは「不在住証明書」を提出してください。
※書類サンプルを掲載していますのでご参考下さい。